Naked Cafe

横田創(小説家)

わたしを見つけて

筑摩書房のPR誌『ちくま 6月号 』に「わたしを見つけて」という短編小説を書きました。

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 自分で言うのもなんだけど、わたしはレアキャラだ。渋谷駅という複雑怪奇で巨大な駅の中でわたしを見つけるのは、たぶん難しい。
 ヒントその1。わたしはいつも渋谷駅の改札口のすぐ近くにいる。そう言われてひとが思い出す改札口はJRのハチ公口か。井の頭線の改札口か。そのどちらでもないとだけは言っておく。
 ヒントその2。わたしは渋谷駅で最も高いところにいる。どこまでが駅の構内で、どこからが駅ナカなのかの判断が難しいところか。一応、嘘とか適当なことは言ってないつもり。
 ヒントその3。わたしは二日働いて一日おやすみをするリズムで働いている。わかるひとにはわかるヒントだけど、わからないひとにはなんのヒントにもならないヒント。


ひっぱりたいものをひっぱってる、今この瞬間、のゆにとってはそれがすべてだ。ひっぱりたいという気持ち。その気持ちに従って腕を動かし、手先を動かす力。能力。ひっぱってみたときの快楽。そうしたすべてのものを、のゆは「座った」ことで、手に入れた。新しい動きが新しい感情を。新しい喜びを。新しい表情、声、つまりは新しいことばを、もたらした。

noyurinote.hatenadiary.jp

奇妙な廃墟

表現者の起こした事件が起きるたびに思う。思い知らされる。福田和也の『奇妙な廃墟』という名を与えられた仕事の偉大さを。

 

小説家・横田創×本屋・竹田信弥トークイベント 文芸誌『しししし2号』刊行記念

東京・赤坂にある選書専門店「双子のライオン堂」の竹田信弥さんと文芸誌『しししし2 特集:ドストエフスキー』の刊行(新作発表)記念として来年、1月30日に二子玉川 蔦屋家電トークイベントをします。竹田さんは、この雑誌に掲載された短篇「わたしの娘」の担当編集者でもあります。そのあたりの話もできればと思っています。

store.tsite.jp

わたしの娘

2019年1月25日発売の雑誌『しししし2 特集:ドストエフスキー』に短編小説を書きました。一部書店にて、年内の先行発売も予定しているそうです。この雑誌を編集・発行している東京・赤坂の書店(双子のライオン堂)で、今年の3月29日に行われた文芸評論家の山城むつみさんとわたしの対談も掲載されています。

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http://shishishishi.liondo.jp/

 

母の手首にはケロイドがある。枝豆の竹の籠を模したプラスチック製の丸い容器を引き寄せた左の手首の外側に、見る角度によっては男物の腕時計をしているように見えなくもない傷がある。養子縁組をした妹に血が出るほど、何度も何度も噛まれつづけた痕だ

 

東野圭吾の「献身」ぶりを味わえる本

去年の秋ごろからずっと東野圭吾の小説ばかりを読んでいる。2008年ごろ、谷崎潤一郎の大正期のミステリ(『潤一郎ラビリンス〈8〉犯罪小説集』『潤一郎ラビリンス〈5〉少年の王国』)と、富岡多恵子の短篇小説(『仕かけのある静物』『冥土の家族』『動物の葬礼』『当世凡人伝』『芻狗』『遠い空』)から始まったわたしのエンタメ小説への旅は、松本清張(『或る「小倉日記」伝』『黒地の絵』『張り込み』『駅路』)から宮部みゆき(『火車』『理由』)へとたどりつき……。

レイクサイド (文春文庫)

レイクサイド (文春文庫)

 

わたしの産んだ、3人めのこどもは、のゆり、という。

笑った顔がほんとーうに、天使だよね!と、色々な人に言われていた。月並みな言い方だし赤ちゃんとしてはそれは普通の現象だと知っている。それでも、そう言いたくなるくらい、のゆの笑顔には驚きがある。普段のかおとが無愛想とかつまらなそうとか怒ってるとかそんな風には誰も思わないのだけど、笑顔を見たとき初めてその落差に気づき、階段から落っことされたみたいにびっくりしちゃう、そういう笑顔。

 

宮崎大祐監督特集

最新作『大和(カリフォルニア)』など、今世界が注目する若手日本人映画監督、宮崎大祐。彼が参加した、アジア4カ国の監督が織りなすオムニバス映画『5TO9』(出演:永瀬正敏 他)の公開を記念して、過去作を特集上映。

監督・脚本を担当した作品の中から、彼の創作の中心に据えられた“ノワール”に焦点をあて、その黒い影をここに投影する。劇場デビュー作『夜が終わる場所』から『5TO9』へ。―正しく埋葬されなかった者は必ずや回帰する。

宮崎大祐監督特集@シネマ・ロサ