- 作者: 川勝正幸,藤原ヒロシ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/02/26
- メディア: 単行本
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- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/05/07
- メディア: 雑誌
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実はドラマが死ぬほど好きで、期待しているから番組改編時期が訪れるたびにガッカリさせられることしきりなのだけど、いまは『白い春』が好きです。阿部ちゃんの顔を、あのなんともえろい口元を真正面からじっくり見ることができるこの時間が好きです。このドラマは調布あたりが舞台に設定されているのに、まだムショから出たばかりの阿部ちゃんはたびたび代々木公園の芝生の上でぼーっとしてます。『スマイル』はあまり楽しみではないけど舞台は代々木上原でご近所なので、もう何度も見上げた駅前の商店街の坂のショットが登場するのでドキドキします。東京に出て来たばかりのころ(1990年初頭)は、ドラマの原作を買って読んではバイクに乗って舞台となった街を見てまわることばかりしてました。ドラマは生きた古地図です。そして、どのインデックスも最初から宛先不明の言葉であることを教えてくれます。調布に代々木公園があったり、実際そこに小学校はあっても起きたこともこれから起きることもない食中毒事件がすでに起きていたりします。どうしても「あのころはよかった」的な思考から抜け出せないおじさんたちは、そんなものは最初からなかった、どこにもなかった、自分が勝手に作り出したドラマに過ぎなかったと認めることができない寂しがり屋なのかもしれません。
すべては消えてしまったのだ。新宿や千駄ヶ谷、西麻布や渋谷に同じ建物が残されていたとしても、いまはディスコでもクラブでもなくメキシコ料理のレストランであったり(日本初のクラブ、ピテカントロプス・エレクトスのことだ)、たとえ当時と同じクラブが、同じ名前で、同じ経営者で、同じ場所にあったとしても、同じクラブであるはずないのだ。体が、顔や名前が同じであっても、かつての友だちがかつての友だちのままであるはずないように。徐々にではなく、ごっそりと、一瞬にして……。