タクシーの窓から、白くてぼんやりとした満月が見えた。今夜はブルームーンだと言っていたのに、まるではっきりしないおぼろな月だった。チューブの中の赤い血液をわたしはおもった。わたしのまぶたのうらにはずっと、一定の量のなみだがあって、病棟をうろついて、入院中のこどもたちを見ても、のゆを遊ばせたり抱いていても、それはなくならないのに、漏れてくることもない。
タクシーの窓から、白くてぼんやりとした満月が見えた。今夜はブルームーンだと言っていたのに、まるではっきりしないおぼろな月だった。チューブの中の赤い血液をわたしはおもった。わたしのまぶたのうらにはずっと、一定の量のなみだがあって、病棟をうろついて、入院中のこどもたちを見ても、のゆを遊ばせたり抱いていても、それはなくならないのに、漏れてくることもない。