
映画館で携帯の電源を切るのを忘れていたことに電話が掛かってきてから気づいた。切られた電話にもう1度掛けたら「電波の届かないところにいるか」のアナウンスが流れた。着拒されたと思ったに違いない相手にそうではないと伝えられないまま、誤解されたまま絶交してしまった女と女の話(『ウンジュンとサンヨン』という韓国ドラマ)をネトフリで観た。
仕方がないとはわかっているけど、神様それはないよ、あんまりだよと思わずにはいられない出来事を記憶したまま次の神様それはないよ、あんまりだよと思わずにはいられない出来事を経験させられるドラマだった。
意味がないことほど意味を持ってしまうのは世の常で。いまのいまついたこのため息は、ほんのちょっとだけいつもより長く呼吸をとめていたせいで起きたただの息継ぎで、その直前に言われたことに抗議をしたわけでもやってられないと言いたかったわけではないと言ったらよけいややこしくなると思って黙っていたら逆ギレされたと思われていた。なんてことはよくある話で。
青土社 ||ユリイカ:ユリイカ2026年2月号 特集=大前粟生