Naked Cafe

横田創(小説家)

読者主義者宣言

図書館で本を借りる。この方法で自分の本が読まれることを拒絶する作家が大嫌いだ。なにがしたくて仕事をしているのか。書いているのか。理解できない。読まれることが目的ではないのか。金を稼ぐのが目的ならほかにもいくらでも仕事がある。自分にできる仕事はこの仕事しかないと、これしかできないと言うならその仕事を「金を稼ぐ」手段としてしかしてない自分自身を、そのルサンチマンを呪うべきだ。

わたしはひとりでも多くのひとに読んでもらうために本を売っている。お金を払えば買うことができる。手に入れることができる。それはひとつの奇跡だ。この速度[Economy]を与えるためにわたしは自分の本を売っている。有料にしている。Amazonでも売っている*1。そんなことは『資本論』に全部書いてある。生粋のインターナショナリストであるマルクスはそのこと自体は否定してない。資本主義を資本主義で止揚する。国家なき国家、共産主義[Communism]という名の王国になる。すべての人間が共同体なき共同体[Community without Community]の王になる。読書という名の聖なる時間を生きるために万国の読者たちよ。団結せよ。いつの時代も自由はあなたたち/わたしたちにある。

*1:そのほとんどが絶版だけど。