Naked Cafe

横田創(小説家)

読者主義者宣言

図書館で本を借りる。この方法で自分の本が読まれることを拒絶する作家が大嫌いだ。なにがしたくて仕事をしているのか。書いているのか。理解できない。読まれることが目的ではないのか。金を稼ぐのが目的ならほかにもいくらでも仕事がある。自分にできる仕事はこの仕事しかないと、これしかできないと言うならその仕事を「金を稼ぐ」手段としてしかしてない自分自身を、そのルサンチマンを呪うべきだ。

わたしはひとりでも多くのひとに読んでもらうために本を売っている。お金を払えば買うことができる。手に入れることができる。それはひとつの奇跡だ。この速度[Economy]を与えるためにわたしは自分の本を売っている。有料にしている。Amazonでも売っている*1。そんなことは『資本論』に全部書いてある。生粋のインターナショナリストであるマルクスはそのこと自体は否定してない。資本主義を資本主義で止揚する。国家なき国家、共産主義[Communism]という名の王国になる。すべての人間が共同体なき共同体[Community without Community]の王になる。読書という名の聖なる時間を生きるために万国の読者たちよ。団結せよ。いつの時代も自由はあなたたち/わたしたちにある。

*1:そのほとんどが絶版だけど。

空港にて

……つづきを読む(『わたしを見つけて 7』)

テキスト(横書き)版冊子(製本用)版

 

『わたしを見つけて』配布場所

梅田蔦屋書店(大阪・梅田)
絵本のこたち(京都・伏見)
喫茶壁と卵(東京・幡ヶ谷)
SUNNY BOY BOOKS(東京・学芸大学)
湘南T-SITE 蔦屋書店 (神奈川・藤沢)
書肆 海と夕焼(東京・谷保)
書肆朝陽館(長野・長野)
NENOi(東京・西早稲田
二子玉川蔦屋家電(東京・二子玉川
双子のライオン堂(東京・赤坂)
BOOKSHOP TRAVELLER(東京・下北沢)

ミステリそれは本を読む喜び、驚きそのもの

生まれてはじめて選書をしました。いいものですね。良い景色です。

 

『新参者』東野圭吾
火車宮部みゆき
『満願』米澤穂信
舟を編む三浦しをん
半落ち横山秀夫
『7月24日通り』吉田修一
『飛魂』多和田葉子
『親しい友人たち』山川方夫
『泣かない女はいない』長嶋有
永い言い訳西川美和

自分の本が並んでいるのを見るより興奮します。見てるだけでうっとりします。どうぞこの機会に。読書会や書籍の販売・発行を通じて読者の自由を追求する書店「双子のライオン堂(東京・赤坂)」を訪れてください。お待ちしてます。

liondo.jp

関係について

関係には親子関係と恋愛関係しかないという確信がわたしにはある。

人間関係に限った話ではない。すべての関係は親子関係(ずっと永遠にこのまま)と恋愛関係(いまこのときがすべて)のどちらかであり、どちらでもあることもできる。異なる2つの愛のかたち(運動)。

親子の中にも恋愛(いまこのときがすべて)はあるし、恋愛の中にも親子(ずっと永遠にこのまま)はある。親子ではないひとの子供になることもできる(そのときは限りなく恋愛みたいな関係になる)し、恋人でもなんでもない、ただの友達と恋愛することもできる(そのときは限りなく親子みたいな関係になる)。できるというか、なるというか。なってることのほうが多いというか。自然というか。

親子関係(ずっと永遠にこのまま)の中に恋愛関係(いまこのときがすべて)が発生しなければ親子が抱えるすべての問題は解決するだろう。恋愛関係(いまこのときがすべて)の中に親子関係(ずっと永遠にこのまま)を求めるようにならなければ恋愛が抱えるすべての問題は生まれないはずだ。

だが、親子関係(ずっと永遠にこのまま)になることが御法度の恋愛関係とは? 恋愛関係(いまこのときがすべて)のない親子関係が成立するなら家族の中で起きるすべての問題はたちどころに消滅する。異なる2つの嫉妬のかたち(運動)。

微塵も恋愛をしない夫婦。嫉妬し合わない兄妹。姉妹。2度と会うことができない、会ってはならないという契約の中でしか会うことがゆるされない恋人たち。そんな純粋な関係はこの世界には存在しない。どの関係も、ずっと永遠にこのままと思いながらそうはならない関係であり、いまこのときがすべてと思いながらも永遠にこのままであることを願わずにはいられない関係である。

ここに友達と呼ばれる関係が割って入ることはできない。なぜならすべての関係は友達だからである。友達ではない関係など存在しない。

友達になることは関係することであり、友達にならないことは関係しないことである。嫌いな関係とは嫌いな友達であり、好きな友達とは好きな関係である。ほんの少しでも親子関係(ずっと永遠にこのまま)か恋人関係(いまこのときがすべて)が発生すればたちどころに純粋な友達のままではいられなくなる。友達とは関係そのものである。

ゆえに純粋な友達など存在しない。すべての関係は親子関係か恋愛関係と呼ばれる闘争(愛という名の戦争)の中にある。つまりは不純で複雑な関係である。なんとなくいつも集まってしまう地元の友達は親戚よりも近い存在で常に兄妹姉妹のような嫉妬が渦巻いている。自分だけが連絡をとることに必死になっている恋人みたいな友達はきょうもLINEの返事が遅い。

メイドインアビス/つくしあきひと✕小島正幸

望郷を旅の先に持つ子供たち。せめて夢をかなえて絶望しておくれ。

 

アニメ「メイドインアビス」公式サイト

 

 

 

目をあけてごらん、離陸するから/大崎清夏

寒さはときどき、驚くほど美しくなる。街灯の光の届かない建物の隅々が、しっかりと闇に沈む。並木はほの明るい街灯に照らされて、まだ眠らないでいる。

リトルモアブックス | 【サイン本入荷!】 『目をあけてごらん、離陸するから』 大崎清夏

omamayとわたし

……つづきを読む(『わたしを見つけて 6』)

テキスト(横書き)版冊子(製本用)版

『わたしを見つけて』配布場所

梅田蔦屋書店(大阪・梅田)
絵本のこたち(京都・伏見)
喫茶壁と卵(東京・幡ヶ谷)
SUNNY BOY BOOKS(東京・学芸大学)
湘南T-SITE 蔦屋書店 (神奈川・藤沢)
書肆 海と夕焼(東京・谷保)
書肆朝陽館(長野・長野)
NENOi(東京・西早稲田
二子玉川蔦屋家電(東京・二子玉川
双子のライオン堂(東京・赤坂)
BOOKSHOP TRAVELLER(東京・下北沢)